
ボランティアは、ボランティア行う側、そしてそれを受け入れ側が存在します。その2つが協力し合い、初めて
良いボランティア活動が行うことが出来ます。
今回は、「ナイトフレンド」という小児病棟の子どものお世話をするボランティア活動団体を受け入れている聖路加国際病院小児病棟看護マネージャーの吉川久美子さんにお話をお伺いしました。
ナイトフレンドの発足のきっかけは何だったのですか?
2003年の10月、学生さんたちが小児科の実習で、病気を持った兄弟がいる家族のことを大学で学んだらしいんです。病気を抱えていない兄弟のほうがストレスフルな状況にあるというのを学んだんですね。それがきっかけで、学生さんなりに「そうした子どもたちに何かお手伝い出来ないか」というのが主なきっかけでしたね。
その時受け入れ側の病院としてはどのような状況でしたか?
病棟の中には12歳以下の子供は入れないというのがありますから、子供さん連れで面会にきていただいても、子供をロビーに置きっぱなしにしなければならないという光景がよくあったんです。こちらも事故が起きては困るということで気になっていていまして、病院のボランティアさんにもなんとか手伝ってもらえないだろうかとお願いしたんです。でも、日中はボランティアさんがいっぱい来てくださっているのでなんとか対応可能なんですが、夕方の5時ぐらいから9時ぐらいの夜の時間帯ですね、難しいのは。なかなかその時間帯に来ていただける方はいなくて困っていたところだったんです。
もう1つは同じ大部屋の中にいて、ある子供さんのところには夜寝るまでお母さんが付いてくれているんですが、ある子供さんのところにはいないという状況がよくあるんです。そうすると独りの子供さんは寂しい思いをするということが容易に想像されますから、そういう時に一緒に遊んでくれる人がいないだろうかとも思っていました。
そうしたときに、学生さんがボランティアを名乗り出てきたわけですね。
学生さんたちがあくまでも自主的にやりたいという希望があったので、病院側として困っている状況をお話したんですね。学生さんたちは、病院側の状況を聞いて帰って、何か自分たちが出来ることはないか考えてきてくれたんです。きちんとした計画を、具体例を出してくれました。それでも、最終的な具体案が出来上がったのは三ヶ月ぐらいかかりましたね。
病院側で受け入れたとき、学生さんへのトレーニングなどはあったのでしょうか?
看護大学に通う学生さんではあるけれども、正式な看護の免許があるわけではないのと、ボランティアですから、あくまでも素人の人が子供と遊んでくれるというような感じでやってくれればいいという事で依頼をしたわけです。ただそうは言っても、聖路加の学生ですので、まず代表者が何回か現場を見に来てくれたんですね。そこで、自分たちで何が必要か、これは学んできた方がいいとか、これは勉強したほうがいいっていうのを自分たちでピックアップして。専門の先生とかに相談したようですよ。例えば赤ん坊の抱き方とかミルクの上げ方とかというのは練習はしてましたね。
今回ナイトフレンドに関しては病院の中に入ってお子さんをみるという形になりますね。大体どういうことをするのでしょう。結局その看護の資格を持ってない人がそこに入るわけですから。最低限気をつけなければいけないというようなことはあるような気がしますが。
結局、ボランティアさんは責任は取れる立場ではないわけですよね。あくまでもやってくださるという好意に甘えているという形だと私は思っています。ですので、病院としては「あなたたちは将来看護婦さんになる立場の人なのだから、これをしてもらわないと困る」とか「これは注意してもらわなきゃっ」というようなことを逆に言ってしまうと、すごい負担になるんじゃないかと思ったんです。そこは最初から素人としてやっていただいてかまわないという姿勢でした。
ただ、病院側がお願いしたい時間帯というのはお話しました。人が足りなくなるのは夕方の時間帯なので、その時間帯に入って欲しいっていうことですね。土日は原則家族も会社休みのところが多いからお父さんお母さんも来られるので、平日月曜日から金曜日までというところで、最低1人は来て欲しいと。
私たちとしては穴を空けて欲しくないっていう、ボランティアだけど穴を空けて欲しくないっていうのはあるんです。でもここのボランティアは看護学生さんたちですから、実習があるってというのは良くわかるし、試験の時には入れないということもあるというのも状況はすごく理解しています。
でも、案の定、長期休暇の時と試験期間の時と試験前はぽっかり空いてしまって、人が来てくれなくなってしまったんです。それはまずいということになって、学生さんたちは自分たちで必ず1人は入るとかいろんなルールを作ってくれました。今は比較的うまく入ってもらっていますね。
ボランティアが来るようになって、病院の体制というか状況は変わりましたか?
やはりコンスタントに入ってくれると、私たちもすごく助かるんですよ。ボランティアさんが来てくれない時にどんな状況になっているかというと、ナースステーションが保育園状態になっているんですよ。准夜のスタッフの仕事が入ってしまうので、日勤の残っているスタッフが遊び相手をしたり、ご飯食べさせたりとか。結局シフトが終ってもみんなボランティア的な感じで関わっていたりするんです。そうすると、結局ずっと我々が見てなければいけないじゃないですか。早く来てくれないかなとか、遊んでくれる人がいないかなと、すごく期待するんですよね。すごく存在感が大きくなってきている。
問題になるようなことを上げるとすると何かありますか。
1番重要なのはやはり秘密の守秘義務ですよね。いろんな情報が入ってくると思うので、それは家族の情報だったり、病院の治療とか、いろんなプライバシーの問題だったりするけど、そういうことは絶対に外に持ち出さないと約束してもらわなければいけない。そこら辺はしっかりわかっているので、そういった問題は起こってないません。
私たちは子供の名前は教えるけれども病気のことは教えてないんです。私たちは一切病名も教えてないですし、今どんな治療をしているかとか、ターミナルであるとか、家族の問題、情報は一切入れていません。
来てもらった時に、「○○ちゃんお願いね」とか、「点滴入っているから気をつけてね」とか、何か手術してもし包帯でも巻いていたら、「ここぶつけないようにしてね」とか、それぐらいの注意はするんですけれども。一切それ以上のことは教えてないですし、学生さんも何の病気ですかとか、それは聞いてこないですから、そこは割り切ってやってもらっている。
そうした意味でも、看護学生さんっていう目であんまり見ない方が良いのかなと思っています。あくまで学生さんでこういう貢献したい、子供たちのためにしたいって、純粋な思いで来てくれる人でいいと思うんですよ。
かえっていろんなことを要求してしまうと長続きしなくなってしまうと思いますし、逆にそれを背負ってきて、「私はこれを勉強してきたからこれが出来る」なんて言われると、私たちも対応しにくくなってしまうんですね。お母さんたちにも、学生さんで、免許はないけれども聖路加の大学の学生さんですという紹介をしているので、お母さんたちにもそこの信頼はあると思うんですね。身元がしっかりしているというか、それはすごく大きなポイントになっていると思うんです。でも活動自体はホントに子供と遊んで、子供が好きで、病棟の中で私たちと一緒にやってくれれば良いかなと思っています。
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